「SWOT(スウォット)分析」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。最近では、就職セミナーなどで教わることも多いかもしれません。このSWOT分析とは、もともと事業の現状分析やリスク回避に使われる分析方法です。しかし、個人の現状を把握することにも役立つため、就活生が自己分析に応用することが多く見られます。ここではSWOT分析の内容と手順を分かりやすく説明し、就活生に役立つポイントをお伝えしましょう。
SWOT分析では、「自分の強みと弱み」「環境の良し悪し」という4つのカテゴリーを設定。それぞれのカテゴリーに当てはまる要素を書き出し、現状を分析する方法です。4つのカテゴリーの内容を見てみましょう。
<強み(Strength):目標達成に有利となる内的要素>
このカテゴリーには、目標を達成するためにプラスとなる自分の特性が当てはまります。就活の場合は希望する仕事に就くことが目標となりますね。そのために有利となる自分の要素、たとえば「仕事に関連する資格を持っている」「モチベーションが高い」「インターンの経験がある」といった項目が当てはまります。自分自身の長所や強みを探しましょう。
<弱み(Weakness):目標達成に不利となる内的要素>
強み(Strength)とは逆に、目標を達成するためにマイナスとなってしまう自分の特性が当てはまります。たとえば「必要な資格をもっていない」「仕事に対する意欲が低い」「働くうえで時間的な制約がある」など、就職するうえで弱みとなる要素を挙げましょう。
<機会(Opportunity):目標達成に有利となる外的要素>
ここでは、目標を達成するためにプラスとなる周囲の環境や状況をピックアップします。たとえば政治動向・経済状態・社会動向・業界環境を考えた場合、就活では「今年は売り手市場である」「就活スケジュールが自分の都合とあっている」「業界の将来性が有望である」などが当てはまるでしょう。
<脅威(Threats):目標達成のために不利となる外的要素>
機会(Opportunity)とは逆に、ここでは目標を達成するためにマイナスとなる周囲の環境や状況を考えます。たとえば「非正規雇用が増えている」「志望業界の景気が悪い」「就活スケジュールが自分の都合とあわない」などの項目が当てはまります。
各カテゴリーの内容を把握できたら、さっそくSWOT分析に取り掛かりましょう。効率の良い5つのステップをご紹介します。
1.目標を定める
各カテゴリーの要素をピックアップする前に、まずは目標を決めましょう。目標を定めることで、各カテゴリーの要素を挙げやすくなります。
2.外的要因から考え始める
SWOTの要素をピックアップするときは、機会(Opportunity)または脅威(Threats)から始めましょう。外的な要因は客観的な事実であることが多いので、ピックアップする際に考え込む必要がなく書きだすことができます。新聞やニュースなどから、各カテゴリーに当てはまる情報を集めましょう。
3.内的要因を考える
機会(Opportunity)と脅威(Threats)の要素をピックアップできたら、次に内的要因である強み(Strength)と弱み(Weakness)について考えましょう。すでに外的要因が挙げられているので、その状況下での強みと弱みを挙げることができ、より現状に即した分析が可能になります。
4.人に見せる
各カテゴリーの要素が出そろったら、書き出した項目を他の人に見てもらいましょう。外的要因は、経験豊富な社会人のほうが多くの情報を与えてくれるかもしれません。また自分では気付かない強みと弱みを教えてもらえれば、多方面からの分析が可能になります。
5.分析する
最後にしっかり現状を分析し、目標を達成させることがSWOT分析の目的です。カテゴリー同士を組み合わせることで、目標達成の方策を探りましょう。組み合わせ方は以下の4パターンがあり、最終的に4パターンの解決策を総合して最良のプランを選びます。
<強み×機会>
自分の長所を生かしてチャンスを確実にものにする方法を考えます。たとえば「強み=仕事に役立つ資格をもっている」「機会=希望の職種で募集が多い」という場合、資格を生かせる職種に的を絞れば有利に就活を進められるでしょう。「強み=モチベーションが高い」「機会=志望企業にOB・OGが多い」という場合には、先輩訪問やインターンをするなど積極的に企業へアクセスすることも有効です。
<強み×脅威>
自分の強みを生かしてリスクを回避するにはどうしたらよいかを考えます。たとえば「強み=仕事への意欲が高い」「脅威=希望職種は非正規雇用しか募集されていない」場合には、モチベーションの高さを生かして非正規雇用から正社員へのキャリアアップを目指すという方法もあります。
<弱み×機会>
弱みを補うことで目標達成のチャンスを得るにはどうしたらよいかを考えます。たとえば「弱み=就職へのモチベーションが低い」「機会=インターンを募集している企業が多い」という場合には、スケジュールが空いたときに志望度合の高くない企業でもインターンに参加してみて企業の魅力を探る、という逆転の発想もあります。
<弱み×脅威>
弱みのせいで発生してしまうリスクを避ける方法を考えます。たとえば「弱み=仕事をするうえで時間的な制約がある」「脅威=志望業界の景気が悪い」という場合には、どこにも就職できないというリスクを避けるために、まずは業界を選ばず拘束時間の少ない仕事に就いてから将来の転職を目指すという長期的なプランも考えられるでしょう。
以上の分析は、ほんの一例です。自分なりの要素をできるだけたくさんピックアップして分析してみてください。
<目標は具体的に>
目標は具体的に設定したほうが、効率がよく分析が進みます。就活でいえば「卒業までに就職を決める」という漠然とした目標ではなく「何月までに、どのような企業から内定をもらうか」まで設定すると、分析がしやすくなります。
<最初は現状把握に集中する>
目標を達成することを最終目的とするSWOT分析ですが、まずはカテゴリーごとの現状を把握することに集中しましょう。各要素をピックアップするなかで問題点や解決策が見えてくる場合もありますが、分析は現状が見えた後に行いましょう。
各カテゴリーについてしっかりと認識できれば、目標達成の方策をたてるのもスムーズに進みます。SWOT分析は、長所や短所をピックアップするという意味では従来の自己分析と変わりありませんが、最終的に目標達成への道筋をつけることを目指している点が特徴です。SWOT分析を使って効率よく自己分析を進め、自己PRや志望動機に活用しましょう。